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TCFD提言に基づく情報開示/
サステナビリティに関する考え方及び取組み

アイザワ証券グループにおける気候変動に対する取り組みの考え方

アイザワ証券グループ(以下「当社グループ」)は、気候変動に対する取組みとして、2022年中期経営計画「Define Next 100~もっとお客様のために~」(2022年4月~2025年3月)の作成に当たり、サステナビリティ基本方針を定めました。

また、経営理念「より多くの人に証券投資を通じ より豊かな生活を提供する」およびミッション「資産形成を通じて、中間層(資産形成層)の方々を生活の不安から解放し、希望にあふれるこの国の未来を彼らが創造するための後押しをする」のもと、総合金融サービスグループとして、社員一人ひとりが地域社会の活性化に取組み、貢献してまいります。

1.ガバナンス

当社グループは、気候変動に係る対応を経営上の重要課題と認識しています。
気候変動関連のリスクや機会を含むサステナビリティ経営戦略について、各事業を営むグループ子会社がそれぞれの事業にて対応し、経営会議で討議をおこない、取締役会にて、報告を受け、審議・監督する体制としています。

ガバナンス体制図

会議体および体制 役割
取締役会 取締役会は、法令、定款及び社内規程に従い会社の業務執行についての重要事項を決定いたします。取締役会は取締役(監査等委員である取締役を除く。)7名と監査等委員3名で構成し、原則月1回開催しております。
また、サステナビリティ基本方針を定め、総合金融サービスグループとして、気候変動課題を含む環境課題に関する取り組みや成長性のある企業の資金調達、独自の金融商品・サービスの開発、個人の資産形成を支えることで社会に貢献し、中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現を目指してまいります。
経営会議 経営会議は、常勤役員(常勤取締役(監査等委員を含む)並びに執行役員)及び各部長で構成され、これに事務局が加わり原則月1回開催しております。
当社グループにおける報告事項を審議の上、決定するとともに、環境課題に関する取り組みや内部統制並びにリスク管理等に対する監視・監督を図っております。
リスク管理委員会 当社のリスク管理体制は、リスクの多様化・高度化とともに専門性が必要とされることから、「リスク管理規程」に基づき、管理すべきリスクの所在と種類を明確にした上で、それぞれのリスクごとに担当部署を定め管理する体制としております。情報セキュリティ及びBCPや環境課題を含めた当社グループに関わる各種リスクの管理について、部門横断的に検討、協議、調整を行い、対応方針の策定、経営への答申等を行う常設委員会としており、原則毎月1回の委員会を開催し、取締役会に報告しております。

2.戦略

気候変動が当社事業に及ぼすリスクと機会

TCFD提言に基づき、全社を対象として気候変動リスク・機会による事業インパクト、対応策の検討に向けたシナリオ分析を行いました。
2℃未満及び4℃の気温上昇時の世界を想定し、2023年度より将来までの間に事業に影響を及ぼす可能性がある気候関連のリスクと機会の重要性、また気候変動リスク・機会に対する当社戦略のレジリエンスを評価しました。

移行リスク

リスク/機会-要素 リスク
種類
リスク 機会の
種類
機会 評価 影響 ビジネス・戦略
・財務等への影響
2℃
シナリオ
4℃
シナリオ
開示規則 政策
・法規制
情報開示範囲の拡大に伴う開示漏れ 市場 情報提供機会の増加によるレピュテーション向上 当該リスクへの対策コスト等が発生し、当社への中規模のリスクがあると考えられます。 ↗ 大 ↗ 大
開示規則 政策
・法規制
炭素税の導入や新たな法規制の制定 市場 各種規制等の対応によるレピュテーション向上 当該リスクへの対策コスト等が発生し、当社への中規模のリスクがあると考えられます。 → 小 → 小
次世代技術 技術 低炭素技術の進展による関連金融商品やサービス等の普及 製品サービス 新たな金融商品サービスの提供 当該リスクへの対策コスト等が発生し、当社への中規模のリスクがあると考えられます。 → 小 → 小
電力/石油価格 市場 電力・石油価格高騰による消費者行動の変化 市場 投資行動の抑制 顧客の投資活動が消極的になるため、各種手数料収入が減少するため当社業績への影響度は高いと考えられます。 ↗ 大 ↗ 大
電力/石油価格 評判 気候変動の取組み不足によるレピュテーションへの影響 市場 売買高の減少
株価下落
当該リスクへの対策コスト等が発生し、当社への中規模のリスクがあると考えられます。 ↗ 大 → 小
ステークホルダーの
嗜好変化
評判 ステークホルダーからの批判 市場 売買高の減少
株価下落
当該リスクへの対策コスト等が発生し、当社への中規模のリスクがあると考えられます。 ↗ 中 → 小

物理的リスク

リスク/機会-要素 リスク
種類
リスク 機会の
種類
機会 評価 影響 ビジネス・戦略
・財務等への影響
2℃
シナリオ
4℃
シナリオ
自然災害の増加
(豪雨、地震等)
急性 店舗やインフラ設備の被害による事業活動の停止 製品サービス グリーンファイナンス市場の拡大による投資機会の増加 顧客の投資活動が消極的になるため、各種手数料収入が減少するため当社業績への影響度は高いと考えられます。 → 小 ↗ 大
感染症のまん延 慢性 外出自粛等による生活スタイルの変化 製品サービス オンライン取引の増加 顧客の投資活動が消極的になるため、各種手数料収入が減少するため当社業績への影響度は高いと考えられます。 ↗ 中 ↗ 大

シナリオ分析

2℃程度の気温上昇シナリオ

    2100年時点において、産業革命時期比で2℃程度の気温上昇に抑制されるシナリオ。
    気候変動対応が強められ、政策規制、市場、技術、評判等における移行リスクが高まる。
    顧客の投資に対する志向が変化し、企業の気候変動対応が強く求められ、未対応の場合は、顧客流出やレピュテーションリスク上昇が発生するなど、移行リスクは高まると推測。一方、気候変動による災害の激甚化や増加が一定程度抑制されるなど、物理的リスクは相対的に低いと推測。

4℃程度の気温上昇シナリオ

    産業革命前の水準から気温上昇が4℃程度まで上昇するシナリオ。
    自然災害の激甚化、海面上昇や異常気象の増加などの物理的リスクが高まる。
    この影響により、BCP対応が整備されている企業の競争力は高まるものと想定。

項目 2℃シナリオ 4℃シナリオ
移行リスク 市場 顧客ニーズの変化 サステナブルな社会の実現のため、気候変動への対応から環境関連商品への需要が高まると思われる 環境関連商品への興味関心度が増す
環境関連商品の取扱い グリーンボンドやサステナビリティ商品の拡充 環境関連商品への興味関心度が増す
電力コストの上昇 24.9円/kWh 13円/kWh
物理リスク 慢性 年平均気温の上昇 約1.4℃上昇 約4.5℃上昇
猛暑日の年間数 約2.8日増加 約19.1日増加
日降水量200mm以上の年間日数 約1.5倍に増加 約2.3倍に増加
急性 1時間降水量50mm以上の頻度 約1.6倍に増加 約2.3倍に増加
台風の激甚化 台風の強度が高まる 猛烈な台風の存在頻度が増える
  • 電力コストについては、(公財)地球環境産業技術研究機構 「2050年カーボンニュートラルのシナリオ分析」を参照
  • 物理リスクについては、文部科学省・気象庁「日本の気候変動 2020 -大気と陸・海洋に関する観測・予測評価報告書-」を参照

シナリオに基づく財務影響

シナリオ 炭素価格
(ドル)※1,2
為替 炭素価格
(円/t-CO2)
炭素税の年間負担額
(百万円/年)※3
2030年 2℃ 130 130 16,900 2.9
4℃ 100 13,000 2.2
2050年 2℃ 250 30,000 5.1
4℃ 160 19,200 3.2
  1. IEA「World Energy Outlook 2021」B.2 CO2 prices Net Zero Emissions by 2050「Advanced economies」の数値を参考
  2. IEA「Net Zero by 2050」A Roadmap for the Global Energy Sector Table 2.2 CO2 prices for electricity, industry and energy production in the NZE「Advanced economies」の数値を参考
  3. 2030年3月度:CO2排出量は 約169t-CO2、$1=130円で試算

シナリオ分析を踏まえた気候変動に対する対応策の検討

項目 対応策
環境基準への対応 社用車やバイク(リース含)等を電気自動車へ転換や、事務所で使用する電力の再生可能エネルギー等への切替を行う。
環境関連開示の義務拡大 環境関連開示に適切に対応し、その他の非財務情報の開示も充実を図ることで、当社のESG評価を向上させる。
顧客ニーズの変化 グリーンボンドやサステナビリティ商品等の環境関連商品の取扱いを行う。
新たな成長分野への投資 ベンチャー企業や環境関連ビジネスやプロジェクトへの投資を行う。
平均気温や海面の上昇等、それらによってもたらされる自然災害等、異常気象の激甚化 顧客とのコミュニケーションを最優先に図るため、WEBや電話等の各種ツールを活用し、当社が強みとする対面での様々な活動が円滑に継続できるような体制を構築する。

3.リスク管理

当社グループは「リスク管理基本方針」を定め、経営理念のもと業務を適切に運営するため、リスク管理を経営における重要課題の一つと位置づけております。
全社的なリスクについては、リスクの把握・評価、必要に応じた定性・定量それぞれの面から適切な対応を行うため、「リスク管理委員会」を設置し、総合的なリスク管理を実施しています。
気候変動に伴うリスクについても、当社が取り組むべきマテリアリティ(重要事項)として認識し、将来の不確実性を高める要素と捉え、既存のリスク管理プロセスへの反映を検討しております。

4.指標及び目標

2022年度の温室効果ガス排出量は、Scope1(自社が直接排出する排出量)は、280t-co2、Scope2(他社から供給された電気などの使用に伴う排出量)は、0.6 t-co2でした。
当社グループは、気候変動が社会の喫緊の課題であると認識し、温室効果ガス削減や省エネルギー化を実践してカーボンニュートラルの実現に向けて取り組んでおります。

持続可能な社会の実現に向けて、Scope1、2について、2030年度末までにグループ全体のCO2排出量の40%削減(2021年度比)、2050年度末までに排出量の実質ゼロ達成を目標としています。

GHG排出量(単位:t-CO2)

2021年度 2022年度 目標
Scope1
(社用車等使用によるCO2排出量)
251.6 280.8

<2030年度>

2021年度比40%削減

Scope2
(店舗等の電力消費に伴うCO2排出量)
0.806 0.620

<2050年度>

排出量ゼロ

環境長期目標の実現に向けて

温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーへの切替やガソリン使用車から電気自動車への転換、カーボンオフセットの活用等を実施・検討してまいります。
また、再エネや省エネ等の着実な低炭素化(トランジション)や脱炭素化に向けた革新的技術(イノベーション)への投資等、グリーン成長戦略のもと、省エネ関連産業を成長分野にするべくESG投資も行ってまいります。